怪談!「理解の捏造」事件 (前編)

2023年2月11日

今回は、今思い出しても背中がススーーっと寒くなる、個人的な思い出話です。ちょっとした笑い話だと思っておつき合いくださいまし。

名づけて「理解の捏造ねつぞう事件」です。

アレクサンダーテクニークの教師養成トレーニングを受けていた頃のこと。

2年生になって、本格的にハンズオンワークの実践が始まり
「とにかく、なんもわかんない」時期が続きました。

そのことを学校の先生に吐露した時に、ある先生のご提案で学生同士、一緒にやったワークがありました。

それは「今いる地点から、次へ移行する時に、自分の”ステイト(状態)”を変えない」というものでした。

 

①まず、私の近くにいる人が私にお話ししてくれたことを聴き、私がキャッチしたことを相手に話す。

「話し手の言ってる1つ1つの言葉を全部理解しようとしなくていいよ。あなたの身体の中を”お話が通ったこと”を大事にしてから話してみて。」というようなことを言われたかな?

聴く→ 受けとめる→ 話す。

この①にかなり時間を割いた記憶があります。

 

②次は、先生の声掛けに従って、私も含め近くにいた数名が動く。

例えば
「AさんはBさんの近くへ向かって」とか
「向かい合って」とか
「背中合わせになって」とか・・。

聴く→ 受けとめる→ 動く。

 

この間、何をやる時も自分の状態ステイト、トーンを変えない、というのがルール!

 

その後、学校にいるみんなでそれをやってみることになりました。

③学生の誰かが動きの指示を出して、周りにいる人が動く。

指示を出す→ 聴く→ 受けとめる→ 動く。

 

私はみんなの「動き」を観察していました。

聴く→ 見る。

 

その時、私にとって「とても恐ろしい事」が起きました。

みんなの「動き」が全く分からなくなってしまったのです!

何が起きているのか、さっぱり分からない。

まるで外国人になってしまったみたいな気持ち。

実は、そのちょっと前までは
「”動き”というものが少し分かってきたかなぁ」と思っていたのでした。

先生が時々やっていた
「Aの動きとBの動きでは、どう違うだろう?」
という実験では

それなりに「こういう違いがあるなぁ」とキャッチ出来るようになっていました。

でも「状態を変えないワーク」をやった後は、手がかりみたいなものが全くなくなってしまって、本当に全然「見えない」のです。

「意味づけが出来ない状態」っていうのかしら?

・  ・  ・

学校の帰り道、ひとりでこの衝撃を胸に抱えながら「一体何が起きたんだろう?」と考え考え、歩きました。

そこではたと気づいたのは、

「いやいやいや!
これは”わかんなくなった”じゃない!!今までだって本当は”わかってなかった”んだ!!」

「今までの私は”理解”を”捏造”していたんだ。それが”見えてしまった”のだ。」

ということでした。

なんてこったーーー!!

 

(次回へ続きます。)