2021年5月25日
春先に髪を切って来ました。
切って下さったのは、20年近くお世話になっている美容師の岩下さんという方です。
コロナの発生から1年経ち、マスク生活もすっかり定着しました。
ふと思いついて、マスクのことを岩下さんに聞いてみました。
(以下 クマ→熊谷 岩→岩下さん)
クマ:お客さんがマスクしてると、切りにくくないですか?
岩:ヒモを8の字にして耳にかけるやり方を知ったことで解決です!
それからは、特にやりにくいということはないですね。
岩:「似合う髪型問題」については、
もう ”マスク込みで似合う髪型” にすればいい!と思うようになりました。
クマ:え?(ちょっとビックリ)
岩:在宅勤務以外の人は
一日のうち、マスクをつけている時間の方が長いんですよね。
マスクをつけた状態で人から見られているわけなので、
「マスクをつけた状態で似合う髪型」が
お客さんが求めているものなんじゃないかと思うようになったんです。
具体的には、
・人はマスクをした人を
目元から頭にかけてと、頭(と顔)の全体的なシルエットで見ている。
・なので、目の周りが重たい印象にならないようにカットしている。
最近は前髪を軽くするオーダーも増えてきている。
とのこと。
不便な中でも、その時ならではのトレンドって生まれるもんなんですね。
人間って案外たくましいのかも。
ここまでは「どういう対処をしたか?」という行動面のお話。
私はさらに「その考えはどこから来たか?」を聞いてみました。
岩:今の状態の全てを受け入れてから変わりましたね。
長いこと世の中を騒がせて来た「マスクにまつわる是非」は、とりあえず置いといて、
岩下さんは「事実」をテーブルに並べていったそうです。
・実際、今みんなマスクをつけている。
・お客さんたちはコロナに感染したくないし、人にも感染させたくないと思っている。
そして、そのことで困ったり不安になったりしている。
↑
これが「事実」。
そして、その事実を一旦全て受け入れて
「今のお客さんに寄り添うこと」が
美容師である自分に出来ることだと思ったそう。
↑
これが「岩下さんの」選択。
何が正しいかはちょいと脇に置いておいて、
起きている事実に対処する!
ってことですね。
私にとって印象的だったのは、岩下さんが
マスクそのものの是非や、
髪型を マスクの有り・無し どちらの状態のお客さんに似合わせるべきか?といった
「正しさ」、「どうするべきか」などの「べき論」から、一旦離れてみたということでした。
まず、一緒くたになりがちな「事実」と「べき」を分けて、
事実を冷静に見つめてみた、ということですね。
印象に残ったわけは、
「何が正しいんだろう?」と正解を急ぐと
それが自分を縛ってしまったり、かえって視野を狭くしてしまったりすることが私の場合多いからです。
「正しい答え」に大急ぎで突進してしまうことで
その中に自分の思い込みや、他者からの刷り込みが紛れ込んでいたとしても気づかず、
結局考えが堂々巡りしてしまい、
「わたしの選択」が出来なくなってしまうのです。
これも「エンド・ゲイナー」のなせるわざですね。
(エンドゲイナー = 建設的なプロセスを端折って、目的に突進しちゃう人のこと。アレクサンダーさんによる造語です。)
もうひとつ思ったのは、
何かがうまく行っている人の話を聞く時、
その人がとった「行動」、表面的な結果だけに注目している時は、
あんまり参考にならないんだよなぁということです。
一方、行動をグーンとさかのぼって、
起きたことをどう捉えているか、どこから見ているかの、
その人の視線、まなざしまでたどり着けると
自分の視界がパっと開けることがあります。
たとえ最終的にその人と同じ「行動」を選ばなかったとしても、
その人の捉え方に近づいてみようと努力することで
得られるものはたくさんある気がします。
みんなきっと「わたしの選択」をしたいんだと思います。
でも、色んな意見、情報に触れると右往左往ちゃいますよね・・。
岩下さんのプロセスは、
「わたしの選択」をする上での大きなヒントになりそうです。
こんな風に岩下さんは、
私の視界を広げてくれる名人でもあるのです。
髪だけでなく、頭の中まで風通し良く仕上げてくれるんですよ(^o^)
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手は、在り方を伝える。